キャッシュレス決済には現在、さまざまな種類の決済サービスがあり、違いや特徴がわからないといった方が多いのではないでしょうか。
この記事では、「電子マネー決済」にスポットを当て、電子マネー決済に対応した方が良いお店をメリット・デメリットと併せて解説していきます。
そもそも電子マネーとは?
電子マネーは現金の代替となる支払手段の一種である。ただし、電子マネーの定義は統計や調査、研究により異なっており必ずしも一様ではない。
出典:ウィキペディア(Wikipedia)
電子マネーの定義は幅広いため、この記事では、日本国内で利用者の多い「非接触型電子マネー」について解説していきます。
「非接触型電子マネー」はクレジットカードと異なり、スマホやICカードをカードリーダー(決済端末)に「かざすだけ」で決済可能です。
操作性がシンプルかつ、簡単なため、クレジットカード決済やQRコード決済と比べても「使い勝手が良い」という声も大きく、交通系電子マネーをはじめ、さまざまな決済サービスが提供されております。
それでは、電子マネーの種類について解説していきます。
電子マネーの種類
電子マネーの種類は大きく二つに分けられます。
- プリペイド方式(前払い)=SUICA等の交通系電子マネー、nanaco、WAONなど
- ポストペイ方式(後払い)=iD・QuicPayなど
電子マネーによっては、上述の両方に該当するものもあります。
プリペイド方式=前払い方式
プリペイド方式は、事前に入金を行って利用する電子マネーです。
「SUICA」などの交通系電子マネーや、セブン&アイ・ホールディングスが提供する「nanaco」などが挙げられます
プリペイド方式でも、クレジットカードに付帯することで、カード利用枠から自動的にチャージするものもあります。
ポストペイ=後払い方式
ポストペイ方式は、予め設定された利用枠で決済を行い、後日利用分が請求される電子マネーです。
NTTドコモが提供する「iD」やJCBが提供する「QuicPay」などが挙げられます。
これらのサービスは、スマホの料金と共に請求されたり、付帯したクレジットカードとともに請求されることが多いです。
最近では、メルカリとNTTドコモが提携したことで、「メルペイスマート払い」という後払いサービスでもiDが利用可能になりました。
また、ポストペイ方式でも、デビットカードやプリペイドカードに付帯し、残高から決済を行える場合もあります。
電子マネーは少額決済向けのサービス
株式会社MM総研の市場調査によると、電子マネーの利用は「1000円以下」「1001円~5000円」のお会計時に多いことがわかります。
上述から高額商品を取り扱うお店や、高単価のレストラン、宴会利用が多い居酒屋では利用される機会が少ないでしょう。
こうしたお店の場合、一度の決済額の上限が大きいクレジットカード決済への対応が求められます。
お店が電子マネーに対応するメリット
会計業務がスムーズになる
電子マネー決済の最大のメリットは、会計業務がスムーズになる点です。
現金会計では、お金を受け取り、お釣りをお返しする必要があります。
電子マネーの場合、カードリーダーにスマホやICカードをかざすだけで決済が可能です。
また、電子マネー決済を導入することで、レジ内やお店の金庫内の現金が減るため、盗難防止にも繋がります。
会計業務がスムーズになるだけなく、盗難のリスクや高額紙幣の管理といった業務も効率化ができる点はお店に大きなメリットと言えるでしょう。
つり銭の両替など小銭の管理が減る
電子マネーに限った話ではありませんが、キャッシュレス決済の場合、お釣りをお返しする必要がありません。
そのため、わざわざ銀行に足を運び、小銭を両替する機会が減ります。
また、つり銭の渡し間違いといった会計ミスが起こりにくい点もメリットも一つと言えます。
ポイント・マイルが貯まるなどポイントプログラムによる集客促進
クレジットカードのように、利用金額に応じてポイントやマイルが還元されるポイントプログラムを実施している電子マネーも少なくありません。
ポイントプログラムの具体例は以下の通り。
- WAON=お会計200円ごとに1ポイント
- nanaco=お会計200円ごとに1ポイント
また、クレジットカードに付帯する電子マネーの場合、「電子マネー利用に対するポイント還元」と「クレジット決済に対するポイント還元」などポイント2重取りが可能です。
こうした理由から積極的に電子マネーを使う人も多くいます。
電子マネー導入=電子マネーユーザーへの集客促進に繋がるため、売上増加に繋がったというお店も少なくありません。
お店が電子マネーに対応するデメリット
決済手数料が掛かる
キャッシュレス決済の最大デメリットとともいえるのが決済手数料。
電子マネー決済においても、カード決済同様に3%程度の決済手数料が掛かります。
カードリーダーが必要

接触型電子マネーの利用には、スマホやICカードを読みよるカードリーダーが必要です。
多くのサービスでは、一つのカードリーダーでクレジットカードと電子マネーの両方に対応することができます。
しかし、QRコードの設置のみで導入できるQRコード決済と比べると、導入に周辺機器が必要な点はデメリットといえます。
一度の決済上限額が決まっている
電子マネーは、少額決済での利用を想定しているため、一度に決済可能な上限額が決まっています。
モバイル決済サービスである「Airペイ(エアペイ)」を例に挙げると以下の通り。
交通系電子マネー | 2万円 |
---|---|
iD | 3万円 |
QUICPay | 2万円 |
決済サービスによって、上限額金額に多少の差はあるものの、電子マネーは基本的に少額決済での利用を想定しております。
そのため、会計金額が高額なお店には不向きのサービスです。
種類が多く、全ての電子マネー決済への対応が困難
電子マネー決済の種類は多く、全ての電子マネーに対応する場合、複数の決済代行サービスを利用する必要があります。
複数の決済代行サービスを併用する場合、電子マネーによってカードリーダーや決済アプリを使い分ける必要があるため、オペレーションが少しややこしくなります。
また、売上金の入金や売上情報も、それぞれのサービスに分かれてしまう点から管理業務が複雑になりがちです。
そのため、「電子マネーの利用者」「お店の業種」「周辺店舗の導入状況」によって、導入すべき電子マネーを見極めるようにしましょう。
利用者の多い電子マネー決済は?
どの電子マネーを導入したら良いかわからない場合には、とりあえず利用者の多い電子マネーに対応しておくと良いでしょう。
株式会社MM総研の市場調査によると、2019年8月時点で認知度・利用額ともに「WAON」がトップとのこと。
次いで、「nanaco」「楽天Edy」「Suica」の順に認知度・利用者が高い結果でした。
ただし、「Suica」に限定された調査であるため、PASMOやICOCAなど他の交通系電子マネーを総合した場合には、最も利用者・認知度が高いと考えられます。
上述から導入に迷っている事業者は、小売・流通系である「WAON」「nanaco」「交通系電子マネー」への対応がおすすめです。
【まとめ】電子マネー決済に対応した方が良いお店とは?
お店側が電子マネー決済に対応するメリット・デメリットについて解説してみました。
電子マネー決済に対応した方が良いお店は
- 5000円以下の少額決済が多いお店
- 会計業務を効率化したいお店
- 電子マネー決済導入による集客促進を行いお店
上述のような場合には、導入を検討してはいかがでしょうか。
キャッシュレス決済に簡単に対応可能な「モバイル決済サービス」については、以下の記事で各社の手数料や導入費用など比較解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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