政府が推進するキャッシュレス化の次の施策として、2020年9月から実施予定の「マイナポイント事業」。
「マイナポイント事業」の目的はキャッシュレス推進だけでなく、
「マイナンバーカードの発行促進」
「消費の下支え」
を目的としており、本事業の補助対象は主に消費者です。
この記事では「マイナポイント事業」の概要から補助を受ける手順、加盟店(お店側)がやるべきことなど徹底解説していきます。
「マイナポイント事業」とは?
「マイナポイント事業」はマイナンバーカード発行者を対象としたポイント還元制度です。
対象の決済サービスと「マイキーID※」を紐づけることで、対象の決済サービス利用時に「25%分のポイント還元」を受けることができます。
※マイキーIDはマイナンバーカードで発行する「マイナポイント事業」用の認証IDです。
還元率が高い本事業ですが、ポイント還元上限が設けられており、1人辺り5000円まで。
これは1回の決済に対する上限ではなく、ポイント付与対象期間内での還元ポイントの総額です。
どうしてマイナンバーカードが必要なの?
単純にキャッシュレス推進と消費の下支えだけであれば、マイナンバーカードは必要ありません。
そもそもマイナンバーは以下の3つの目的から導入されました。
- 国民の利便性向上
- 行政の効率化
- 公正・公平な社会の実現
具体的には、脱税対策だったり、IT推進により役所や税務署の業務効率化、各種行政サービスの利用・税金申告時の必要書類の削減などが挙げられます。
こうしたマイナンバー精度本来の目的を果たすには、国民全員がマイナンバーカードを持つ必要があります。
総務省によると、2019年4月1日時点でマイナンバーカードの発行枚数は「約1650万枚」で人口の13%程度に留まっております。
こうしたマイナンバーの普及とキャッシュレス化、二つの政府が推進したい目的を一度にやってしまおう、というのが「マイナポイント事業」というわけです。
「マイナポイント事業」の実施期間
「マイナポイント事業」の実施スケジュールは以下の通り。
- 予約&申し込み受付⇒2020年7月~4月末まで※
- ポイント付与期間⇒2020年9月~2021年9月末まで※2
※.予算上限到達時点で受付終了
※.当初の2021年3月末から半年間延長
本事業には予算上限が設けられており、ポイント還元予算に到達時点で受付終了となります。
「マイナポイント事業」の申し込み方法
ポイント還元を受ける上での大まかな手順は以下の通り。
- マイナンバーカードの発行
- マイナポイントを予約(事前申し込み)
- マイナポイントの申し込み(本申し込み)
それぞれについて解説していきます。
マイナンバーカードの発行
マイナンバーカードを発行していない場合、マイナンバーカードの発行を行う必要があります。
マイナンバーカードの発行は、スマートフォンから簡単に申請できます。
通知カードに記載のQRコードをスマホで読み取り、申請用のメールアドレスを登録
登録したメールアドレスに届く、専用WEBサイトからスマホで撮影した顔写真を登録
生年月日など申請情報を登録
上述以外にも
- パソコンによる申請
- まちなかの証明写真機からの申請
- 郵便による申請
などでも発行申請可能です。
詳しくは、マイナンバーカード総合サイトの案内をご覧ください。
マイナポイントを予約&申込む
マイナポイントの予約&申込みは、
- スマホアプリ
- パソコンの専用ソフト
- マイナポイント手続きスポット
のいずれかから行えます。
マイナポイントの予約には、マイナンバーカードを読み取るための専用アプリ・ソフトをインストールする必要があります。予約はパソコン・スマホのどちらでも可能ですが、パソコンの場合はカードリーダーが必要です。
また、コンビニのマルチカラーコピー機など全国9万か所に設置された「マイナポイント手続きスポット」からでも手続きは可能です。
アプリをインストールしたら、スマホの背面にマイナンバーカードをかざしましょう。パソコンの場合はカードリーダーにマイナンバーカードを差し込み読み取りましょう。
読み取りが完了したら、マイナンバーカード発行時に設定した4桁の暗証番号を入力したら、予約受付が完了します。
予約完了後は、ポイント還元を受ける決済サービスをマイナポイントに登録します。登録完了後、2020年9月1日~2021年9月末までの決済サービス利用分がポイント還元対象となります。
スマホでのマイナポイント予約&申込手順は、私が実際にやってみた上で画像付き解説を以下にまとめております。

スマホアプリで予約&申込する場合の環境について
スマホアプリの場合、マイナンバーカードの読み取りに対応している機種である必要があります。
対応機種は「iOS=iPhone7以降」、「android=2016年冬以降(※メーカー・機種による)」といった感じです。
詳しくは以下のリンクよりご確認ください。
パソコンで予約&申込する場合の環境について
パソコンの専用ソフトの場合は、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーが必要です。
カードリーダーは安いもので1500円前後、SONYなど国内メーカー製であれば3000円前後で購入可能ですが、ポイント還元上限を考えると新規購入するのは微妙ですよね。

今後、e-taxで確定申告を行うなど別の用途があれば、この機会に購入しても良いでしょう。
マイナポイント手続きスポットで予約&申込する場合
「マイナポイント手続きスポット」で予約する場合は、「マイナンバーカード」と「スマホまたはICカード(決済サービス利用に必要なもの)」が必要です。
予約から決済サービスの登録まで一貫して行うことが出来ます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

「マイナポイント事業」の知っておくべき4つポイント
既にマイナンバーカードを発行済みの人も対象
本事業は、マイナンバーカード発行促進が目的の一つですが、既にマイナンバーカードを発行している方も対象です。
決済サービスより、ポイント還元対象となるタイミングが異なる
ポイント還元対象となるタイミングは「チャージ時点」「決済時点」のいずれかで、決済サービスにより異なります。
いずれの場合でもポイント還元対象となったタイミングから2か月以外にポイント付与されます。
現時点で、サービス毎の詳細がわからないため、情報が入り次第、随時更新していきます。
一つの決済サービスに紐づけられるマイキーIDは1つまで
例えば、父・母・子供の3人家族でマイキーIDを3つ取得し、全て父のSUICAに紐づける、といったことは出来ません。

家族それぞれの決済サービス、もしくはそれぞれのマイキーIDを異なる決済サービスに紐づけて利用しましょう。

一度マイキーIDと決済サービスを紐づけてしまうと、決済サービスの変更は出来ないため、利用頻度の高い決済サービスと紐づけるようにしましょう。
予算上限に到達時点で申し込みは締め切られる
「マイナポイント事業」の予算は2458億円が充てられ、大まかな内訳は以下の通り。
- ポイント還元予算=2000億円
- システム改修などの経費=458億円
ポイント還元の原資は「2000億円」を予定していることから、申し込み受付人数は以下の通り。
2000億円÷5000円=4000万人
2020年1月1日時点の人口は「1億2602万人」なので、人口の約30%がポイント還元を受けることができます。
マイナンバーカード発行の手続きや、登録を消費者側が行う手間が掛かるため、事前予約の時点で予算上限に到達するかは怪しいですが、申し込み締切が設けられているため、お早めの申し込みをおすすめします。
「キャッシュレス・消費者還元事業」との違いは?
2020年6月末まで実施している「キャッシュレス・消費者還元事業」と混合しがちですが、「マイナポイント事業」は異なるポイント還元事業です。
キャッシュレス推進を主な目的とした「キャッシュレス・消費者還元事業」に対し、
「マイナポイント事業」はキャッシュレス推進に併せて、マイナンバーカードの普及、消費の下支えが主な目的です。
もう少し掘り下げると、大きな違いは3点。
- マイナポイント事業は消費者側が申し込みを行う必要がある
- マイナポイント事業はお店側への直接的な補助がない
- マイナポイント事業のポイント還元対象は店舗毎ではなく、決済サービスが対象
具体的に解説していきます。
マイナポイント事業は消費者側が申し込みを行う必要がある
「キャッシュレス・消費者還元事業」では加盟店(お店)が決済事業者に対して、登録申請を行うことで「ポイント還元対象店舗」となり、消費者へポイント還元が実施されました。
対して、「マイナポイント事業」では、消費者側がマインポイントへの申し込みを行い、対象の決済サービスを利用することでポイント還元が実施されます。
登録作業の負担が加盟店(お店)側から消費者側に変わっているわけですね。
マイナポイント事業は加盟店(お店)側への直接的な補助がない
「キャッシュレス・消費者還元事業」では、加盟店(お店)側に登録申請の負担がある変わりに「決済手数料補助」「キャッシュレス導入補助」などが実施されました。
「マイナポイント事業」では、加盟店(お店)に対しての直接的な補助はありません。
ただし、各決済サービスに対応することで、ポイント還元を目的とした消費者の集客促進に繋がります。
マイナポイント事業のポイント還元対象は店舗毎ではなく、決済サービスが対象
「キャッシュレス・消費者還元事業」では、登録申請をした加盟店(お店)が「ポイント還元対象店舗」となりました。
「マイナポイント事業」の場合は、特定の加盟店ではなく、各決済サービスを対象としたポイント還元です。
そのため、消費者は加盟店(お店)が「ポイント還元対象店舗」てあるか、確認する必要がありません。
「マイナポイント事業」に向けて加盟店(お店)がやるべきこと
加盟店(お店)には直接的な補助はないものの、対象の決済サービスに対応することで、還元されたポイント利用による来店促進が可能です。
とはいえ、電子マネー決済・QRコード決済など対象サービスが多く、全てに対応するのは現実的に難しいです。
そのため、「利用者が多く」「ポイント還元率の高い」決済サービスに絞り込んで対応すると良いでしょう。
【まとめ】「マイナポイント」でお得にキャッシュレス化をしよう
以上、マイナポイント事業について解説していきました。
実施前のため、詳細が発表されていない情報も多いため、今後進捗があれば本記事を随時更新していきたいと思います。
3月31日にマイナポイントの予約を行ってみたので、詳細は以下の記事にまとめております。

本事業に向けて、キャッシュレス対応したいというお店に向けて、決済サービスの比較記事などもございますので、ぜひ一度ご覧ください。

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