『PayPay』など一部のQRコード決済サービスでは、期間限定ながら決済手数料を無料にすることで加盟店獲得を進めてきました。
こうしたキャンペーンを実施してきた決済サービスのほとんどでは、「無料期間を2021年9月末まで」としており、以降は決済手数料が有料化される予定でした。
以降の決済手数料は2.60%が主流になると思いきや、QRコード決済シェアトップの『PayPay』が最低1.60%と他社より1%以上、安い料率を打ち出したことで、各社の動きにも変化がありました。
この記事では、日本国内におけるQRコード決済シェアトップの6社の決済手数料をテーマに、2021年10月以降の各社の決済手数料の比較、最も決済手数料が安い決済サービスなど徹底解説していきます。






QRコード決済各社の決済手数料 比較表
決済サービス | 手数料無料期間 | 有料化後の手数料 |
---|---|---|
PayPay | 2021年9月末まで | 1.60%または1.98% |
LINE Pay | 2021年9月末まで | 1.60%または1.98% |
auPAY | 2022年9月末まで | 2.60% |
d払い | 2022年9月末まで (2021年8月31日以前の申し込み店舗は対象外) | 2.60% |
メルペイ | 2021年7月末まで | 2.60% |
楽天ペイ | 2022年12月末までの決済分キャッシュバック (2021年8月24日以前の申し込み店舗は対象外) | 3.24% |
2021年10月以降も決済手数料が無料になるのはKDDIが提供する『auPAY 』。
NTTドコモが提供する『d払い』も2022年9月末まで決済手数料が無料ですが、対象となるのは2021年9月以降の新規加盟店のみで、それ以前に加盟した店舗は2021年10月から予定通り有料化となります。
では、決済手数料が最も安いのは『auPAY 』かというと、そうではありません。
『PayPay』では、予定通り2021年10月以降から決済手数料は有料化されますが、同時に決済額の3%キャッシュバックを行うキャンペーンを実施します。
つまり、決済手数料以上の料率でキャッシュバックを受けられるため、無料どころか決済額が大きければ大きいほど、利益が増えるわけです。

ただし、キャッシュバックの条件として月額プラン(1980円/月)に加入する必要があるため、決済額が小さいお店では『auPAY 』の方が決済手数料が安く済む場合があります。
当記事後半では、決済額に応じて店舗側が負担する費用をシミュレーションしておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
※決済手数料シミュレーションはこちら
『PayPay』はQRコード決済の中で最も使われている決済サービスという点を考慮すると、導入しておかない手はないわけですね。
【決済サービス別】QRコード決済各社の加盟店手数料を徹底解説
ここからQRコード決済各社の加盟店手数料について、個別に解説していきます。
一部のQRコード決済は、QRコードの連携を実施しているので、まとめて解説します。
- PayPayとLINE Pay
- d払いとメルペイ
PayPay、LINE Payの加盟店手数料

導入費用 | 無料 |
---|---|
月額費用 |
|
決済手数料 |
|
入金手数料 | 無料 |
QRコード決済シェアトップの『PayPay』は2021年9月末をもって決済手数料が無料期間が終了します。
2021年10月以降は、対応しているすべての決済方法を一律1.60%または1.98%で利用可能です。
『PayPay』加盟店ではLINE Payの他に、中国のアリババグループが提供するALIPAY系の外国人向けQRコード決済にも対応しております。
決済手数料1.60%の適用条件として、月額プラン『PayPayマイストア ライトプラン(1980円/月)』への加入が必要ですが、10月19日までの加入で『PayPay決済額の3%がキャッシュバック』されます。
つまり、差額の1.40%が利益になるわけです。
加盟店向けキャンペーンは、全て併用可能なため、今なら『PayPayマイストア ライトプラン(1980円/月)』が2ヶ月無料と非常にお得です。
auPAYの加盟店手数料

導入費用 | 無料 |
---|---|
月額費用 | 無料 |
決済手数料 |
|
入金手数料 | 無料 |
導入から決済、入金に至るまですべて無料で導入できるため、初めてキャッシュレス導入するお店でも安心して導入することができます。
当初は決済手数料の無料期間を2021年7月末までとしておりましたが、その後に2021年9月末まで、2022年9月末と段階的に延長しております。
auPAY以外に連携している国内のQRコード決済はありませんが、中国人向けQRコード決済であるWeChat pay、Alipayに対応することが可能です。
ただし、WeChat pay、Alipayは別途申し込みが必要で、3.24%の決済手数料が掛かります。
楽天ペイの加盟店手数料

- カードリーダーの無料提供(カード決済・電子マネー決済を導入する場合のみ)
導入費用 | 無料 ※カード決済・電子マネー決済を導入する場合はスマホまたはタブレットの用意が必要 |
---|---|
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 3.24% |
入金手数料 |
|
楽天ペイはQRコード決済だけではなく、カード決済・電子マネー決済にも対応可能な『モバイル決済端末』の提供も行っております。
QRコード決済の導入だけであれば導入費用は無料ですが、カード決済・電子マネー決済も導入する場合はカードリーダーを接続するスマホまたはタブレットを店舗側で用意する必要があります。
2021年9月以前は、決済手数料に関するキャンペーンは一切実施しておりませんでしたが、2021年10月1日から2022年12月末までの期間、決済手数料を全額キャッシュバックするキャンペーンを実施しております。
※キャッシュバック対象は、QRコード決済『楽天ペイ』決済分のみ
つまり、1年間、決済手数料が実質無料で導入できるわけです。
また、楽天銀行の口座以外を入金先に指定した場合に掛かる入金手数料(1回当たり330円)も2021年10月1日から2022年12月末までの期間はキャッシュバックされます。
なお、キャッシュバックの対象になるのは、2021年8月25日以降に新規申し込みした店舗のみで、それ以前に導入している場合は対象外です。
キャンペーンは非常に魅力的ですが、通常時の決済手数料がカード決済と同水準の3.24%と高い点がネックです。
d払い・メルペイの加盟店手数料

導入費用 | 無料 |
---|---|
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 2.60% ※2021年9月以降の新規加盟店は2022年9月末までd払いの決済手数料が無料 ※メルペイは無料期間なし |
入金手数料 | 無料 |
d払いはメルペイとQRコードを連携しておりますが、決済手数料の扱いが異なります。
メルペイは2021年6月末をもって決済手数料の無料期間が終了し、現在は2.60%です。
d払いは2021年9月以降に新規申し込みした店舗のみ2022年9月末まで決済手数料が無料です。
既存の加盟店を含めて無料期間を延長した『auPAY
』とは異なり、d払いは既存の加盟店に対する無料期間の延長は行わず、2.60%の決済手数料が掛かります。
(2021年8月末までに申し込みした店舗は、2021年9月末まで決済手数料が無料でした。)
上述のように『d払い』は決済手数料無料キャンペーンを長いこと実施しておりますが、既存の加盟店に対する無料期間の延長は行わない傾向にあります。
【手数料シミュレーション】結局のところ、決済手数料がもっとも安い決済サービスはどれ?
ここでは、実際に各QRコード決済サービスで同額の決済があった場合に発生する決済手数料をシミュレーションしていきます。
というのも、キャッシュバックキャンペーンを実施する『PayPay』は、その条件として月額プラン(1980円/月)への加入が求められるため、最も決済手数料が安いサービスは決済額によるからです。
また、キャンペーンの有無による決済手数料の違いについてもわかるように、
- キャンペーンの適用期間内の決済手数料
- 2022年10月以降の決済手数料
上記、2つの条件で、実際に発生する決済手数料をみていきましょう。
【条件①】キャンペーンの適用期間内の決済手数料
以下の表は、決済額別に各社のキャンペーンが適用された場合に店舗が負担する費用をまとめたものです。
ちなみに、各社の決済手数料は楽天ペイを除き、税別での表記なので、消費税込みで計算しております。
※赤字は店舗の費用負担0円以下
決済額 | 58,580円 | 141,430円 | 250,000円 | 500,000円 | 750,000円 | 1,000,000円 |
---|---|---|---|---|---|---|
PayPay(1.60%適用時) | 1,276円 | 0円 | -1,672円 | -5,522円 | -9,372円 | -13,222円 |
PayPay(1.98%適用時) | 1,276円 | 3,080円 | 5,445円 | 10,890円 | 16,335円 | 21,780円 |
LINE Pay(1.60%適用時) | 3,209円 | 4,667円 | 6,578円 | 10,978円 | 15,378円 | 19,778円 |
LINE Pay(1.98%適用時) | 1,276円 | 3,080円 | 5,445円 | 10,890円 | 16,335円 | 21,780円 |
auPAY | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
楽天ペイ | 実質0円 | 実質0円 | 実質0円 | 実質0円 | 実質0円 | 実質0円 |
d払い | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
メルペイ | 1,675円 | 4,045円 | 7,150円 | 14,300円 | 21,450円 | 28,600円 |
PayPayとLINE Payは決済手数料1.60%の適用条件に月額プラン(1980円/月)の加入が必要なので、月額費用を含めております。
また、決済額が『58,580円』『141,430円』と中途半端ですが、
- 『58,580円』=PayPayの「決済手数料1.60%+月額1980円-3%キャッシュバック」が「決済手数料1.98%」に並ぶ決済額
- 『141,430円』=PayPayの「決済手数料1.60%+月額1980円」と「3%キャッシュバック」が相殺され、店舗の費用負担が0円になる決済額
といった境となります。
決済手数料無料キャンペーンを実施している『auPAY』『d払い』、決済手数料分のキャッシュバックを実施している『楽天ペイ』、この3社は決済手数料が掛かりません。
しかし、『PayPay』の場合、月間の決済額が『141,430円』以上あれば、無料どころか決済手数料とキャッシュバック分の差額1.40%がまるまる利益になるわけです。
つまり、各社のキャンペーンを適用した場合にもっとも決済手数料が安いサービスは、
- 月間の決済額が『141,430円』以上なら『PayPay』
- 月間の決済額が『141,430円』未満なら『auPAY』『d払い』『楽天ペイ』が横並び
ということになります。
『PayPay』の月間決済額『141,430円』というのは、QRコード決済の半分近いシェアを占めるPayPayの利用率の高さを考慮すると、よほど売上が少ない店舗を除いて決済される金額と言えるでしょう。
【条件②】2022年10月以降の決済手数料
続いて、各社のキャンペーンが終了する2022年10月以降、つまり、通常時の決済手数料でもっとも店舗側の費用負担が少ないサービスをみてきましょう。
※赤字が決済額別の費用負担が最も安い
決済額 | 58,580円 | 141,430円 | 250,000円 | 521,052円 | 750,000円 | 1,000,000円 |
---|---|---|---|---|---|---|
PayPay(1.60%適用時) | 3,209円 | 4,667円 | 6,578円 | 11,349円 | 15,378円 | 19,778円 |
PayPay(1.98%適用時) | 1,276円 | 3,080円 | 5,445円 | 11,349円 | 16,335円 | 21,780円 |
LINE Pay(1.60%適用時) | 3,209円 | 4,667円 | 6,578円 | 11,349円 | 15,378円 | 19,778円 |
LINE Pay(1.98%適用時) | 1,276円 | 3,080円 | 5,445円 | 11,349円 | 16,335円 | 21,780円 |
auPAY | 1,675円 | 4,045円 | 7,150円 | 14,902円 | 21,450円 | 28,600円 |
楽天ペイ | 1,898円 | 4,582円 | 8,100円 | 16,882円 | 24,300円 | 32,400円 |
d払い | 1,675円 | 4,045円 | 7,150円 | 14,902円 | 21,450円 | 28,600円 |
メルペイ | 1,675円 | 4,045円 | 7,150円 | 14,902円 | 21,450円 | 28,600円 |
こちらもPayPayとLINE Payは決済手数料1.60%の適用条件に月額プラン(1980円/月)の加入が必要なので、月額費用を含めております。
これは比較するまでもなく、決済手数料1%台で提供するPayPay、LINE Payがもっとも安いですね。
今回は、PayPayの3%キャッシュバックが適用されませんので、月額費用加味した場合、『521,052円』を境に1.60%適用時の方が決済手数料が安くなります。
決済額が小さい場合は、月額プランに加入せず。1.98%で利用した方がお得ですね。
決済代行サービス経由での決済時は手数料が高いので注意が必要
QRコード決済は、各社と直接契約する以外に『Airペイ(エアペイ)』や『stera pack
』といった決済代行サービスでも導入可能です。
ただし、決済手数料は決済代行サービスが設定した料率が適用され、QRコード決済各社のキャンペーンは対象外です。
Airペイ | sterapack |
---|---|
![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料1.08% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% | ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% ![]() 決済手数料3.24% |
直接契約に比べて決済手数料が高いですが、これらの決済代行サービスでは、QRコード決済のみならず、クレジットカード決済や電子マネー決済など様々なキャッシュレス決済を一括して導入することが可能です。
また、QRコード決済各社と個別に契約を交わすと、契約した分だけQRコードを設置する必要がありますが、決済代行サービスであれば一つの決済端末(または決済用アプリ)で決済処理が可能です。
導入後のサポートや管理画面、決済分の入金などもまとめてもらえるため、管理やオペレーションの効率化を図りたい場合に利用すると良いでしょう。
ちなみに『PayPay』だけ直接契約し、他の決済方法は『stera pack
』を使うといった形で併用することも可能です。
クレジットカード決済や、電子マネー決済の決済手数料と比べるとどうなの?
カード決済や電子マネー決済を導入する際の決済手数料相場は、決済ブランドや業種によって違いはあるものの3.24~3.75%です。
三井住友カード系の決済サービス『stera pack 』など、Visa、MasterCardの決済手数料2.70%とさらに料率の低いものも登場してきましたが、QRコード決済に比べるとまだ高いです。
また、QRコード決済は、専用の決済端末を必要とせず、決済用のQRコードを設置するだけで導入することができます。
QRコード決済の中でもシェアの多くを占めている『PayPay』は、電子マネー決済の中でも利用率が高いSuicaにならんできたという話もありますから、決済手数料がネックでキャッシュレス対応していないというお店は『
PayPay』だけでも対応しておくべきでしょう。
【まとめ】加盟店手数料の安さとシェアの高さからPayPayの導入がおすすめ
キャッシュレス決済を導入する店舗側の最大のメリットは、集客効果と客単価を高めることによる売上アップでしょう。
そのため、いくら加盟店手数料が安くても、使われないものを導入しても意味がありません。
この記事で比較してきたサービスは、QRコード決済の中でもシェアトップの6社ですが、利用率に大きな差があります。
決済サービス | 2021年7月の調査 | 2021年1月の調査 | 上昇率 |
---|---|---|---|
PayPay | 46.1% | 43.1% | 3.0% |
LINE Pay | 2.8% | 4.6% | -1.8% |
auPAY | 13.4% | 12.1% | 1.3% |
楽天ペイ | 14.8% | 15.4% | -0.6% |
d払い | 16.9% | 18.2% | -1.3% |
メルペイ | 3.0% | 3.6% | -0.6% |
出典:2021年7月スマートフォン決済(QRコード)利用動向調査、2021年1月スマートフォン決済(QRコード)利用動向調査
上記の通り、『PayPay』がシェアの半分近くを占めているのです。
つまり、QRコード決済を導入する上で、『PayPay』に対応していないというのは、カード決済でVisaに対応しないのと近いです。
※Visaの国内シェアは約55%
決済手数料こそ有料化されましたが、決済手数料以上にお得な3%キャッシュバックキャンペーンを実施している今こそ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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