2019年から本格的に始まったキャッシュレス化。
飲食店においては、利益率が低いことから決済手数料が掛かるキャッシュレス決済導入に踏み切れないオーナーさんもいらっしゃるかと思います。
しかし、以前に比べて「導入費用」「決済手数料」ともに費用は下がっており、個人店や中小規模の飲食店でも導入が容易になりました。
この記事では、飲食店の中でも「キャッシュレス決済に対応すべきお店」と「飲食店におすすめの決済サービス」をテーマに解説していきたいと思います。
キャッシュレス決済対応の一番の壁は決済手数料(加盟店手数料)
キャッシュレス決済対応について、最大の懸念点は決済手数料(加盟店手数料)という方が多いのではないでしょうか。
以前は、飲食店でカード決済を導入すると決済手数料が5%以上掛かるといったことも珍しくありませんでした。
しかし、スマホやタブレットを使ったモバイル決済サービスにおいては、決済手数料3%で事業者規模を問わずに利用することができます。
また、一部のQRコード決済サービスでは「決済手数料無料」で導入できるものも増えてきました。
私の知人の飲食店では、2019年10月以降、売上の半分近い金額がキャッシュレス決済で支払われており、需要の高さがうかがえます。

では、キャッシュレス決済に対応した方が良いとされる飲食店はどういったお店なのか、解説していきます。
キャッシュレス決済を導入するなら必ず抑えておくべき決済手段は?
クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など様々な決済方法がありますが、抑えておくべき決済手段はお店の単価によります。
宴会利用が多い居酒屋やレストランなど、会計単価が大きいお店では「クレジットカード決済」が頻繁に利用されます。決済ブランド別では、VISAが50%を占め、次いでJCB・アメックス・マスターカードの利用率が高いです。
カフェやランチタイム等、会計単価が低い飲食店においては、「電子マネー決済」の利用者が非常に多いです。中でもSuica等の交通系電子マネーは年代を問わず利用者が多く、会計単価が低いお店では必ず対応しておくべき決済方法と言えます。
QRコード決済に関しては、お得なイメージが定着していることもあり、利用者が年々増加傾向です。ランチタイムでの利用が目立ちますが、宴会利用が多い居酒屋等でも利用されており、「カード決済」「電子マネー決済」に比べると単価の影響が少ない決済方法と言えます。
キャッシュレス決済に対応した方が良い飲食店はこんなお店
- 単価の高いお店
- 高齢層をターゲットとしているお店
- 宴会など人数の多い団体集客したいお店
- 外国人観光客を取り込みたいお店
- お客様からの要望が多いお店
キャッシュレス決済に対応すべき飲食店の特徴は上述の通り。
より具体的に解説を行うため、市場調査を行う会社であるイプソスやJCBの調査データを交えて、それぞれ解説していきます。
単価の高いお店
過去に、当サイトで飲食店2店舗の決済データを集計した結果、高単価のお店の方がキャッシュレス決済(主にクレジットカード)利用割合が多いことがわかりました。
店舗A | 店舗B | |
---|---|---|
業態 | 居酒屋 | 和食 |
席数 | 110席 | 50席 |
平均単価 | 4200円 | 4500円 |
集計対象 決済件数 | 10024件 | 5466件 |
現金 | 74% | 68% |
キャッシュレス決済(現金以外) | 26% | 32% |
お会計の金額が高額であればあるほど、キャッシュレス決済のメリットであるポイントやマイルの還元を多く受けることが出来ます。
「高いお店に行く人はポイントなんて気にしないのでは?」
そう思うかもしれませんが、高収入になればなるほど、クレジットカードの利用枚数が多いことが調査で明らかになっています。
出典:「クレジットカード利用実態調査」の結果を公表
この調査の対象は「保有枚数」でなく「利用枚数」で行っております。
つまり、年収が高い人ほどお店ごとに、クレジットカードを使い分けており、もっともお得に決済をしていることになります。
また、単純にクレジットカードは分割払いやリボ払いなど、支払いのタイミングを分けることが出来ることも、単価の高いお店でのクレジットカード利用率が高い理由の一つです。
高齢層をターゲットとしているお店
クレジットカードの使用率は年代別に異なり、高齢になるほど高い傾向にあります。
出典:決済手段の利用状況についての大規模調査を実施
上記のデータの通り、キャッシュレス決済において30代以上からクレジットカードの使用率が76%を超えております。
また、飲食店におけるクレジットカードの利用率については、JCBの調査資料によると60代男性が最も多く増加傾向。
「飲食店」でのカード利用は男性60代、近畿圏が高く、男性60代では昨年と比較しても増加している。
宴会など人数の多い団体集客したいお店
キャッシュレス決済を利用する目的はさまざまですが、一番の理由はポイント・マイルが貯まるお得感という人が圧倒的です。
1番多く利用するクレジットカードを利用する理由は、「ポイントやマイルが貯めやすいから
(51%)」、「入会金・年会費が他社と比較して安いから(無料含む)(34%)」が高い。
2番目に多く利用するクレジットカードも、1番多く利用するカードと同様の理由が高い。
その他、「日常的に利用している銀行・郵貯などの口座を支払口座として登録できる」「自分
のよく利用するお店で割引などのサービスがある」という理由も高く、普段の生活で接点があ
る場所でのサービスが、クレジットカード利用を促進させていると考えられる。
クレジットカードを始め、キャッシュレス決済におけるポイント還元は決済金額の〇%といった形で還元されることが一般的です。
そのため、お会計金額が高額になる宴会などの団体利用時は、幹事にとってはポイントを貯める絶好の機会です。
また、お会計がスムーズになるため、回転率の向上といった点もお店側にとっては大きなメリットでしょう。
外国人観光客を取り込みたいお店
外国人観光客が日本を訪れた際に困ったことの一つに「クレジットカードの利用・両替」があります。
日本では、キャッシュレス決済を推進する政府の動きに合わせて2019年から利用者が増えてきたわけですが、多くの外国人はクレジットカード、電子マネー等、キャッシュレス決済の利用割合が高いのです。
出典:キャッシュレス・ビジョン-経済産業省-
外国人観光客の場合、現金の持ち合わせの関係上、クレジットカードが使えるお店で食事をしたいと考える人も多くいるでしょう。
そういった理由から訪日外国人の来店を促すには、クレジットカード決済の対応は必須です。
また、訪日外国人のうち30%近い割合を占める中国人をターゲットとする場合、「ALIPAY」「WeChatPay」といったQRコード決済への対応しておくと良いでしょう。
特に「ALIPAY」は、2018年の中国本土でのモバイル決済額「約4,709兆円」のうち、シェアの半分以上を占めるサービスです。
「ALIPAY」は、「PayPay」から同時申込をすることが出来、決済手数料1.98%と業界最安で利用可能です。
加えて中国人の持つクレジットカードの多くを占めるブランドが「銀聯(UNION PAY)」です。
「銀聯(UNION PAY)」に対応している決済サービスは以下の3社。
お客様からの要望が多いお店
これは来店時や問い合わせ時にお客さんから「クレジットカードを使いたい」、といった要望が多い場合です。
要望が多いということはクレジットカードを頻繁に利用する層が来店していることが予想できます。
ちょっとしたことかもしれませんが、お客さんの選択肢を増やして利便性を上げることはリピート促進に繋がるでしょう。
飲食店におすすめのキャッシュレス決済サービス
キャッシュレス決済に対応可能サービスは数多く、どれを選べば良いかわからない方におすすめのサービスは以下の2つ。
【Airペイ】対応決済方法が多く、業界最安水準の決済手数料で導入可能

リクルートが提供する決済サービスである『Airペイ(エアペイ)』。
対応可能な決済方法が多く、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済に至るまで全51種に対応しております。
また、加盟店手数料は1.08~3.24%業界最安水準です。
デメリットは、サポートセンターへの電話が繋がりにくい点、メールでの問い合わせに対しての返信が遅いといった点が挙げられます。
ただし、現在実施中の『Array』では導入に必要な『iPad+カードリーダー』を無料提供するキャンペーンを実施しているので、費用負担なく導入可能です。
【Square】カード決済・電子マネー決済・POSレジ・オンライン決済まで対応!

米国発の決済サービス『Square(スクエア)』は、店頭でのキャッシュレス決済のみならず、店舗運営に必要な機能が豊富。
カード決済、電子マネー決済、の決済方法に対応しております。
キャッシュレス決済のみならず、POSレジ機能やデリバリー・テイクアウト用の注文サイト作成、ネットショップ作成、タイムカード機能など、決済サービスの枠を超えた機能が充実しております。

これらの機能は、月額費用や維持費無料、3.25%~3.75%の決済手数料のみで利用可能です。
また、利用実績を重視する『途上審査型』のサービスのため、申し込み直後からカード決済が可能かつ、書類提出が不要などとにかく申し込みが簡単です。
キャンペーンを使ってお得にキャッシュレス導入したい方へ
モバイル決済サービス各社では、端末補助や手数料補助に関するキャンペーンを実施しております。
各社のキャンペーン情報は以下の記事をご覧ください。

キャッシュレス決済に対応しないお店は強みとして活かすべき
単価の低いお店や原価率ギリギリで営業しているお店は、無理してキャッシュレス決済に対応する必要はあるのでしょうか。
たまに、クレジット決済の場合は5%別途取るようなお店がありますが、そもそも決済会社との契約違反になりますし、お客さんの印象を悪くしてしまうくらいならいっそのこと対応しないという選択肢もありかなと。。。
手数料分コストダウンして、質を落としたり、値上げをすることでリピーターが離れてしまう可能性もあります。
そういった場合には、「お客様の利便性を欠いてでもキャッシュレス決済に対応しない=経費を極限まで削って料理やサービスでお客様に還元していること」をしっかり伝えるべきです。
こうしたお店の情報発信はホームページやSNSといったWEB上でも店舗での張り紙やアナウンスでも構いません。
繁盛店を作るには弱みさえも強みに変えて、お店の価値を引き出すことが何より大切です。
まとめ
飲食店におけるキャッシュレス決済対応について解説してみました。
2018年から政府主導でキャッシュレス推進は行われ、2020年6月まで実施されていた「キャッシュレス消費者還元事業」を皮切りに今後も普及に向けて、様々な取り組みが行われるでしょう。
飲食店においてもキャッシュレス決済の需要が高まっていることから今後は対応が必須となるでしょう。
お試しで導入してみてお店に合わなければいつでも解約することができるので、初めてのキャッシュレス決済導入でも安心して利用できます。
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